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伊藤羊一さん講演〝Lead the self〟リーダーシップ、キャリア論

講演者 伊藤羊一さん プロフィール
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト/Yahoo!アカデミア学長、株式会社ウェイウェイ代表取締役

 Personal Compass Academy 第1回目講演会として、伊藤羊一さんにご自身のこれまでの経験を踏まえ、「リーダーシップ」について話していただきました。

自己紹介

 2003年まで日本興行銀行(現:みずほ銀行)に勤務、その後2015年3月までオフィス家具、事務用品のプラスに勤務、現在はYahoo!アカデミアの学長をしています。それに加え、グロービス経営大学院の客員教授としてリーダーシップ開発やパワーと影響力について教え、株式会社ウェイウェイの代表取締役として各種事業開発プログラムのメンターや放送局内での起業プログラムのディレクターをさせていただいています。

 本を数冊出していて、「キングダム 最強のチームと自分をつくる」はビジネス書グランプリ2018のマネジメント部門で第5位を獲得しました。(拍手)

 最近では3月15日に「1分で話せ」を出版、いきなり第5刷まで増刷しています。Amazonのビジネス書グランプリ(5月7日時点)で第5位と第8位をKindle版と冊子版で獲得しています。

 

私の今までの歩み

 Leadershipを語るうえでまず私の人生を軽くご紹介します。

 ライフラインチャートというもので表現してみました。横軸では出生から現在まで年代別に均等に区切り、縦軸では幸福度・充実度がプラス、マイナスでどうだったかについて記します。そして特に上下に大きく変動したところでは何が起きたのかを吹き出しで記します。

 学生時代はただれた生活をしていて、とにかく、バイト、バンド、デート。バイト、バンド、デート。韻を踏んでるかな。(笑)

 銀行に就職してもうだつが上がらず、俺はまだ本気を出してないだけと言い訳している日々。挙句の果てにうつになってしまったものの、まだその頃は世の中でうつ病はあまり知られていなかったので、どうしたらいいか、誰に相談したらいいか分からず相当苦労しました。

 行内でも成績が上がらず、周囲に助けてもらってようやく何とか成果を出せましたが、その後相当なことをやらかして左遷。そして実は左遷されたことに自分だけが気づいていないという有様でした。

 転機になったのはプラスに転職してからです。2011年、東日本大震災が起きた直後から、物流復旧リーダーとして会社全体を仕切りました。3月11日の金曜日に地震が発生、週明けの14日に東日本で全て出荷が停止させ、社員、販売店の支援便を仕立てながら物流の復活を急ぎ、1週間後の18日には青森、秋田、山形が復活、22日には岩手、福島が復活、25日には宮城も復活、と宅配便大手やネット通販大手などよりも早い回復を達成しました。

 この間、東北以外への出荷を全て止めて復旧にあたり、社内の一部からは不満の声があがり、伊藤が勝手に社長みたいになっていると言われましたが意に介さずに業務に集中しました。

 こういう時、リーダーは現地に行って現場感を知る、ということがよく言われますが、私は行きませんでした。

 かつて、ダイエーの中内さん(中内功氏:ダイエー創業者)は阪神淡路大震災が起きたとき、スーパーはライフラインであると名言して、震災から間もなく通常の営業活動を再開すべく全力を注いだことを思い出したからです。早期に営業を再開させ、商品を無償配布するのではなく、通常どおり販売した。

 それを思い返すに、企業が最大の力を発揮するのは全員でボランティアをやるより本業に集中すること、それが企業の本質的価値だと考えました。

 そして、優先順位を決め、決断を下すのが経営者なのだということも身をもって知りました。批判の声があがることもありますが、それを恐れていては何も進みません。

 東日本大震災から2年経たないうちに、プラスは仙台空港の近くに物流拠点を開設するまでになりました。地元に就業の機会を創れたことは私の中で特に嬉しかったことの一つでもあります。

 様々な経験をするうちに、コミュニケーションスキルの訓練が必要だと思うようになり、販売店や社内で教える機会をどんどん作るようになりました。グロービスの講師にもなりました。そしてヤフーで当時トップだった宮坂(宮坂 学 ヤフー株式会社代表取締役社長(当時))に誘われヤフーに入り、Yahoo!アカデミアの学長になりました。

 今では数多くの方々に成長する機会を設けられるようになってきています。

 自分のライフラインチャートを見返すと、自分の中でマイナスの極地からプラスの高い方に向かっていく中で、「譲れない思い」が生まれてきていことに気づきました。

伊藤羊一さんの「譲れない思い」

 3つあります。
1.人は変われる。
2.全てはフラットである。
3.仲間が大事である。

 本当に苦しい・辛い時期はありながらも、周囲のサポートを受けながらこんなにも変われた。苦しい時期、他人と目を合わせることもできなかったことがあった。その時の自分、Yahoo!アカデミア学長である今の自分、どれも自分。全ての人がリスペクトされるべきであり、全てがフラット。

 自分が辛い時に助けてくれたのは仲間だった。一方で、辛い状況に陥るトリガーを引いたのも仲間だった。その経験を経て、仲間を大事にしたい。仲間に裏切られたくないと考えるようになったのです。

 リーダーとかリーダーシップと言われると、他人をどう率いるかということを意識しがちですが、それ以前に自分自身を振り返り「自分の譲れない思い」を知ることが大切だと思います。

 自分自身が熱狂するくらい一つのことに集中(Lead the self)して初めて他人を巻き込むことができます (Lead the people) 。そして社会を変えていく(Lead the society)にまでなれるのではないでしょうか。

 ということで、まず何より自分自身の人生をLeadできているか考えてみるといいと思います。古代ギリシアの格言によれば「汝自身を知れ」なのでしょうね。

「思い」を醸成すのは「経験」

 「譲れない思い」は何から生まれてくるものなのでしょうか。それは、自分自身が積み重ねてきた「経験」だと思います。これまでの人生で何があり、どう感じ、どう行動を起こしたのか。その経験の積み重ねが今の自分に影響を与えているのだと思います。

 よって、一人ひとり自分ならではの思いがあっていい訳です。

 さて、ここで「汝自身を知るワークショップ」として自分自身のライフラインチャートを描いてみて、3人くらいのグループになってお互い説明し合いましょう。

(筆者補足)ここでグループワークをしました。自分のライフラインチャートを描き、じっくり時間を取りとことん質問し合って一人ひとりの気づきを得られるようにしたいところ、この場では数十分間に短縮したものの、かなり盛り上がりました。

未来に向けて、何をするのか

 世の中の景気の良い悪いは景気循環だけでは語れなくなってきていると考えています。そもそも激しく人口が減少し始めています。国土交通省の予測によれば、2056年には1億人を割り9,000万人くらいになっているとされています。

 さらに深刻なのが生産年齢と言われる15歳から64歳までの人口推移です。2011年から5年間で5百万人、福岡県の人口(2012年現在で504.9万人)ほどがいなくなることになります。2050年頃には44%も減ると予測されています。これだと日本で働いていて未来は明るい、もっと沢山売れると言うのには無理があります。

 一方でナイジェリアの未来は明るい!こんなきれいな人口ピラミッドになっています。人口はどんどん増えていきそうなだけに、同じことをしていても売上は増えていくこと間違いなしでしょうね。

 そんな中、日本はこのままでいいのか。

 世界はどんどん変わっていきます。

 1903年のニューヨークの様子を当時の写真で見ると人は馬車で移動していますが、 その後、1908年にヘンリー・フォードがT型フォードを世に送り出します。それから5年後の2013年になると、米国の交通事情は一変し、馬車から車に移動手段は一変しました。

 2005年と2013年のローマ法王の謁見は全く違うものになりました。2005年には誰もがじっとしていたところ、2007年にアップルが初代iPhoneを発売開始、2013年には多くの人がスマホを向けて写していました。

 様々な領域で、世界はこのようにどんどん変化していきます。ぱっと思いつくだけでも、Facebookやweb会議でコミュニケーションの仕方があっという間に変わり、シェアリングエコノミーが台頭し、これからはIoT(Internet of Things)が進んでいきます。世界はどんどん変わっていくのです。

 インターネットが世に出てくる頃にビジネスを作ってきた方々に聞くと、今はちょうどその頃、1990年代中盤と非常に似た感じがすると聞いています。

そんな中、我々はどうしなければいけないのか。
未来を作るのは誰なのか。

Lead the self
Lead the people
Lead the society

まず何より自分の人生をLead出来ているかが大切です。
皆さんの譲れない思いは何でしょうか。

我々ひとりひとりが、自分自身をLeadさせる覚悟はありますか。
その覚悟をもって、我々は、今日から、何をしますか。

過去が現在につながり、現在は未来につながります。
経験を変えることで、未来は変えることができます。

ここにいる我々ひとりひとりはチームや仲間のために何をしますか。
ここにいる我々ひとりひとりは未来のために何をしますか。

未来は予測するものでなく創るものです。
Willをもって、踏み出して、形にし続けましょう。

踏み出してもなかなかうまくいかないものです。また形にすることの規模の大小は関係ありません。それを繰り返して明るい未来を創りましょう。

■講演結果概要 グラッフィクレコーディング

作成:山本彩代さん(NPO法人場とつながりラボhome’s vi)

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プロフィール

小室

小室 勝裕
1972年生まれ。京都市在住。
10年来、購買業務のうち間接材の取引見直しによるコスト削減を様々な立場で経験。コンサルテイング会社勤務時代には事業を西日本に拡大するに当たっての現場の最前線を背負う。事業企画、経営企画、そして内閣府に出向して国の制度改革にも貢献した後、製薬会社に転職、現在に至る。
週末は二児の父として子供と外出する日々。

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