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【読者企画】奥田絵美さんインタビュー② ママそらの創業と発展

 

不安なママを救い、活躍できる場を作りたい

奥田:まずFacebook上でママのコミュニティを作ろうと考えました。ただ「不安なママを救いたい」というテーマだと地味になってしまうので「ママの輝きから家族や社会を元気に。そして明るい未来へ。」という前向きなコンセプトで始めました。

 家の中にばかりいると気分が滅入りそうになるし、子育ては思い通りにいかないことばかり。子どもが泣き出すと、かけがえのない存在のはずなのについ声を荒げたり手を上げたりしてしまいそうになる。自信がなくなって母親失格だと思ってしまうことすらある。また周りからも母親失格と思われたくなくて一人で頑張ってしまい悩みを抱え込むことも。

 過去の私がそうだったように、外に出るのにしてもママ友を作るのにしても勇気がいることになりがちです。引きこもってしまいそうなママにはインターネット上でメッセージを伝えることが一番効果的だと思いました。この方法であれば夫が転勤になってもずっと続けられますしね。

 また、ママだけで悩みを共有しても社会は変わらないので対象者はママだけに限定せずに、ママを応援する男性や企業の方も読んでもらえるよう意識して発信しました。

小室:どのくらい反響がありましたか。

奥田:1ヶ月でFacebookページは1,000いいね! 500名の方がFacebookグループに参加しました。無名の専業主婦の発信にこれほど反応があるのかとびっくりしました。

小室:沢山のママが集まってきたのですね。まずどんなことをしましたか。

奥田:「今日の輝くママ」というコーナーを作りママのライフスタイルや子育て経験を紹介する記事を毎朝配信しました。テレビや雑誌に出てくるママの生活は参考になりにくいので、身近にいるママを取り上げるようにしました。皆さんいいことばかりではなく、辛かったことや悩んでいたことなどもリアルに書いてくれるので、紹介するたびに共感の輪が広がっていきました。

 連載はもうすぐ500名(500回目)になります。ちなみにパパを含めると500名以上になりますね。

今日の輝くママ

記事例

 
小室:まさにロングラン。皆の関心事なのでしょうね。

奥田:そうですね。輝くママに出てくれるママも、ご家族や周りの方も喜んでくれますし、読者も毎日楽しみにしてくれているので私も嬉しくてやめられないのです。

 輝くママ以外にも子育て・美容・教育・働き方などママが学んだり、楽しめるテーマで専門家にコラムを書いてもらい、こちらも毎日配意しました。また、さらに一歩踏み出してもらうためにリアルなイベントを開催するようになりました。子連れで参加できるイベントや託児付きの勉強会など。O2O(Online to Offline)の効果でどんどんコミュニティが大きくなっていきました。

 ママそらがスタートして3ヶ月が経った頃、面識のあった老舗和菓子屋のオーナーから10名のママを集めて新作和菓子の感想や改善点を聞きたいとの依頼がありました。それに対して一番の消費者であるママ目線での意見を集めることができ大変喜ばれました。結果、初めて売上が立ちました。15万円ほどです。

 活動を続けていくには資金が必要だし、ボランティアだと長く続きません。ママtoママでビジネスをするには限界がありますが、ママto企業だと可能性が広がるかもしれない。協賛というより企業にママの価値を提供して報酬を得ようと考えました。ママの活躍の場も作れます。そして企業と仕事をするなら法人化するしかないと思いました。

 

わずか15万円の売上から法人化

小室:えっっ…その状態で会社にしようと思い立ったのですか。

奥田:ええ、そうです (笑) 。ただママ友に話すとリスクを心配してくれましたし、司法書士さんに相談してもまずは500万円くらいを売り上げてからにしてはどうかと言われました。でも夫の次の転勤のことを考えると、仕事を取りやすい環境にある東京にいる今しかないと思ったのです。

 夫に相談しても反対されました。ママサークルを楽しんで行うのはいいが法人化する意味がよく分からないと。私自身うまく説明できませんでしたが、どうしても実行してみたかったので「使うのは100万円だけ。それ以上は家のお金に手をつけないし、借り入れもしない。100万円なくなったら諦める」という条件で渋々了承してもらいました。で、いざ始めてみると100万円なんてすぐ使い切ったのですがそっと続けました(笑)。

 運営資金も事業計画もほとんどない中、あったのはママが活躍できる場を作りたいという強い想いだけ。そして何もスキルがないと思っていた私でしたが「営業が好き」ということが一番の武器になりました。

 ママそらの会員の中には、高度で専門性のあるスキル・経験がありながら妊娠・出産でキャリアをやむなく中断した方々がたくさんいるのに気づいていました。時間的制約がある、地方に住んでいる、などの理由から一人だと企業との仕事に出来なくても、束になると企業に価値を提供できるなと考えたのです。またチームを組むことでママたちで助け合いながら安心して働けますよね。

 最初に受注した仕事は数万円規模の小さなものでしたが、SNSの口コミやご紹介、サイトを見た企業さんから次々と問い合わせが増え反響営業で取引先を増やしていきました。

 例えば、カタログ通販のニッセンでは、商品開発メンバーに元アパレルのトップ販売員やデザイナー、マーチャンダイザー、モデルをキャスティングしています。ママ目線で商品に意見を言うだけでなく、自ら宣伝・販売することまで考えて商品企画を進めています。お陰さまで毎号独自のコーナーを作らせて頂いています。

ニッセン

 営業先の企業には「一人の人件費分で全国にいるプロフェショナルな全国のママたちに仕事をアウトソーシングしませんか」と提案しています。様々なスキルを持つママたちを登用して質を高めた上で結果を出すことにより企業から高い報酬をいただけるし、ママたちにも成果に見合った報酬を支払えます。クラウドソーシングの普及もあり、在宅ワークの仕事は確かに増えていますが、まだまだ報酬が低い案件が多いと感じています。1件100円などと受注しようにも泣きたくなる金額であることすらあります。

 多くのママたちがスキル・経験の活かし方をつかみきれない一方で、企業側もママの能力の高さや活用の仕方がよく分からないことがある。ここをうまく繋ぐことでママたちの報酬アップと企業側の業績アップに繋げられたらいいなと考えて営業しています。

小室:他にも取引先の企業がたくさんあるということですね。

奥田:はい。コツコツ増やしていっています (笑) 。企業だけでなく行政との取り組みも増えています。

 法人化して1年後に(夫の転勤があって)今は大阪に住んでいることもあり、首都圏だけでなく関西の取引先も増えてきました。昔は辛かった夫の転勤も今ではコミュニティ拡大や取引先拡大に一役買っています。

 

子育てを長期的視点から考える

小室:子育てに関して何か独自の取組はありますか。

奥田:ママそらこども未来館というプロジェクトが今年1月からスタートしました。科学技術が発達したグローバルな現代社会での子育て法、 変化が激しい時代に将来をデザインする力を「科学」という視点を軸にみんなで一緒に考えていくプロジェクトです。館長に人工知能を研究する松田雄馬博士、顧問にフリーアナウンサーの河田京子さんを迎え、コラムを配信したり、イベント/ワークショップを開催したりする予定です。

mamasola kodomo miraikan

啓蒙活動を精力的に

小室:それ以外にはどのような活動をしていますか。

奥田:ママへの啓蒙活動が必要ということから女性の就業支援に関する講演活動を全国で行っています。

 おととしだと主婦インターンシップで中小企業庁「中小企業新戦力発掘プロジェクト」のイベント運営・講師をしましたし、昨年だと厚生労働省 平成27年度託児付再就職支援セミナー運営事業「ママの再就職応援セミナー」で講師をしました。ざっと数えて年間60回以上の講演をこなしていますね。私は別にキャリアカウンセラー等の特別な資格を保有していませんが、転勤族の専業主婦だったママが一歩踏み出したことで新たな社会が広がったという事例が共感されやすく、講師の依頼が増えています。

 あと、昨年6月には「新しいママの働き方」を出版しました。

 もうひとつ。ラジオでもママに役立つ情報を届けています。毎週土曜日、午前10時から約30分間、レインボータウンFMというラジオ局でママそらモーニングcaféという番組のパーソナリティーをしています。スマホアプリのListenRaido(リスラジ)かUSTREAMを使えば全国とこでも聴いていただけます ((筆者補足)USTREAMだと定点カメラでの映像付です) 。

 NewsPicksでは女性の社会活躍に関するニュースがよく取り上げられるので、何らかの形で番組の中で活用できたらいいなと考えています。ピッカーの方々に出演していただくとか、ママ向けに政治経済の話をわかりやすく解説するのも面白そうだな〜と思っています。ママたちの知識の底上げも必要ですからね。

ラジオ出演

 女性が活躍するためには国の政策や企業の努力も必要ですが、併せて女性の意識を変えていく必要もあると感じています。私も働くママとしてママたちと一緒に考え情報や課題をどんどん発信して活躍する女性や活躍する場所が増えたらいいなと思います。

 

現在の株式会社ママそらと今後の展望

小室:素晴らしいですね。現在の株式会社ママそらと今後の抱負を聞かせて下さい。

奥田:株式会社ママそらは3期目に入りました。会員数は約1万人になり、北海道から沖縄まで9支部を展開するようになりました。今後は支部のメンバーと協力して全国にたくさんあるママサークルの発展の支援をしていきます。安心して参加できる場所が増えることで一人でも多くのママの安心・笑顔・輝きに繋げていきます。

 そして大きな束になって、子どもたちのために社会や未来を明るくしていきたいですね。

「ママの輝きから明るい未来へ」

 スタート当時は大げさなこと言ってるなーと自分でも思っていましたが(笑)だんだん現実味を帯びてきました。失敗したことも泣きたいこともたくさんたくさんありましたが、一歩踏み出したママや働き出したママから「ママそらがあってよかった」と言われることが本当に嬉しくて。

 また、私の両親が聴力障がい者なんですが、ゆくゆくはママ以外にも活動の輪を広げられたらいいなと思っています。

 今後もいろんなことに挑戦していきたいです。

小室:最初から最後まで感動の連続でした。本日はどうもありがとうございました。

奥田:こちらこそありがとうございました!

 こうやって振り返ると、転々とした職も孤独や不安だった経験も全て今に繋がっているなと感じますね。本当にありがとうございました!

2周年_出版記念

 

関連Webサイトへのリンク

(各支部のリンク先はママそら 東京以外全てFacebookページです)
株式会社ママそら

・全国の各支部
ママそら おきなわ

ママそら くまもと

ママそら ふくおか

ママそら こうち

ママそら 関西

ママそら 湘南

ママそら 東京(Webサイト)

ママそら 千葉

ママそら 函館

■本記事の目次
第1回:転勤族のママになって

次週からは福岡市の市長である高島宗一郎さんの特集を掲載します。時系列に沿って青春時代、アナウンサー時代、市長になってから今まで、そして将来展望についてお届けする予定です。

本読者投稿企画の記事は毎週月曜日午前7時にNewsPicksのタイムラインに配信します。
今後もご期待下さい。

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プロフィール

小室

小室 勝裕
1972年生まれ。京都市在住。
10年来、購買業務のうち間接材の取引見直しによるコスト削減を様々な立場で経験。コンサルテイング会社勤務時代には事業を西日本に拡大するに当たっての現場の最前線を背負う。事業企画、経営企画、そして内閣府に出向して国の制度改革にも貢献した後、製薬会社に転職、現在に至る。
週末は二児の父として子供と外出する日々。

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