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【読者企画】T. Rikiさんインタビュー ネットで発信。kikidiaryとして。

T. Rikiさん (kikidiaryさん) プロフィール
香川県出身。電子部品・材料メーカーにて技術営業職で勤務。本拠地はサンノゼ(シリコンバレー)。
ブロードバンド登場の頃からインターネット上でkikiないしkikidiaryとして発信し続ける。
NewsPicksには2014年から猫のアイコンでコメントしている。

 

発信するまで

小室:学生時代はどんなことをしていましたか。

kikidiary:文章を書くのが好きでした。中学1年生の頃に学級新聞を作ったら担任の国語の先生に褒められて、やる気が凄く出たのをよく覚えています。またその頃には小説を書いていました。

小室:いつ頃からネット上で発信していましたか。

kikidiary:高校生の頃から近所でインターネット接続が普通になり、私の家では父がADSLでインターネットに繋がる環境を整備してくれました。最初はどうやって使うのか分かりませんでしたが、じきに慣れ「高校生の井戸端会議」というサイトの掲示板によくアクセスして発言していました。kikiというハンドルネームはその頃から使っています。語源は当時使っていたプロバイダーの名前を参考にしていたような気がします。

 大学生になってからは魔法のiらんどという、自分の携帯サイトを作れるサイトで短文日記や掲示板を運営しました。URLを知っている人しかアクセスしてこないところでのコミュニケーションでしたが、知り合いがこまめに見に来てくれてカウンターがぐるぐる回っていたのを覚えています。大学生同士、時間に余裕があったので読んでもらえたのかもしれませんね。

 2002年から始めた日記は今でもkiki日記というブログとして断続的に続けています。その中で今のハンドルネームであるkikidiaryが生まれました。

小室:どんなテーマで日記を書いていましたか。

kikidiary:昔は日々の出来事を綴ることが多かったです。その後はMixiやFacebook、TwitterなどのSNSを通じて発信していくことようになりました。

小室:発信してどう感じましたか。

kikidiary:誰かに褒められたり認められたりすることがとても嬉しかったです。世の中のどこかで認められたたというか。

 SNSやブログで発信することは今でこそよくあるものになってきました。とはいえMixiが普及するまでは、自分の意見や日記を世間全般に公開する仕組みは多分なかっただろうだけに、使い方が利用者の間で模索中であるように思えました。私自身、早くから自分なりに取り組んでいたところ、携帯サイトで書いた内容に対し友人だけでなく全く知らない方から様々な指摘を受けたことがあり、インターネット上で発言することは難しいものだと感じたものです。

 その結果、オープンに書くのにためらい、一番伝えたい時のお作法がポエムっぽくなっていたこともありました。今、読み返すと恥ずかしくてたまらないものもありますが、それもその時の自分の見方なので、自戒の念も込めて残しています。その後もSNSごとにある良さも難しさをも感じていて、自分がどうしたいのか、何をしたいのか、何を発信したいのか今でも模索し続けているような気がします。

小室:発信を続けてどうでしたか。

kikidiary:私が投稿したことで、業界の有名な方で私よりはるかに専門的な知識がある方から思いかけず強く同意や支持していただいたことがありました。自分が発信することで誰かの意見や気持ちが分かった気になれるのが嬉しかったです。

 一方で散々な思いをしてアカウントを「即デリート」したいという衝動に駆られることもありました。ええ何度も。

 私は熱しやすく冷めやすい性格です。ふと振り返ると、同じサービスを同じ使い方で長く使い続けるのは難しいなというのが実感です。Twitterにのめり込んでいた時期が結構長く、様々な出会いを自分にもたらす一方で、自分の私生活にかなりの悪影響を与えるような出来事まで起き、Twitter疲れを感じていた頃に出会ったのがNewsPicksでした。

 ということで、強く魅力を感じる一方、自分自身は熱すぎ、寒すぎ、どちらにもならないよう、適度な距離感や温度感で付き合っていくのが一番いいのでしょうね。

小室:発信することで自分は何か変わったと思いますか。

kikidiary:ネットを通じて知り合った方々によって自分の狭い世界観を広げていただき、発見や気付きを得ることはあるものの、発信したことがきっかけで自分自身が丸ごと変わったということはないです。自分はどこまでも自分なのでしょうね。

 とはいえ何も変わらないのではなく、現実の世界で自分が変わると発信する内容も変わるということはあり得ると思います。

 

技術者?

小室:NewsPicksではエレクトロニクス系の記事を中心にコメントしていますよね。大学の専攻は理工系でしたか。

kikidiary:いえ、法学部卒です。

小室:えっ…(プロフィール資料を見て) あ、本当だ。でも今、技術者ですよね。

kikidiary:いえ、技術営業職です。テクノロジーに関しては社会人になってから勉強し続けています。

小室:ん…ん…
 失礼しました…

 本当にコツコツ積み重ねてきたのですね。

kikidiary:(微笑)。そう言って頂けるとありがたいです。

 

発信で心がけていること

小室:会社経営者ではないので、コメントが原因で何か起きたら一人では責任を取り切れないかもしれません。現所属先に迷惑をかけないよう、どのようなことに注意していますか。

kikidiary:コメントでは世間全般に報道などで知られた「既知のこと」にのみ触れるようにしています。ニュースメディアや各企業が発信した履歴を確認できることだけで言及するようにし、個人的な推測、予測、感想の場合、そうである旨を記載するようにしています。自分しか知りえないこと、会社の業務を通じてしか知りえないことは書きません。例えば今のシリコンバレーでの生活体験ならではの話であれば所属先に迷惑がかからないように細心の注意を払うようにしています。

小室:視点に関してはいかがですか。

kikidiary:どんなニュースにも過去や経緯があります。俯瞰的に見ることで複数の事柄を関係させてみる、多角的に見るなどの練習をするようにしています。例えば誰かが日本でのスマートフォンの販売台数の話をすれば、私は各国の傾向の話をする、インドでの動向に関する話があれば世界全体から見てどうか・日本と比べてどうか、など別の視点から調べて発信することで、自分自身、思い込みによる偏りや勘違いをしないように心がけています。

小室:ここで言って頂いたことはとても重要だと感じました。
イラストにまとめてみましょう。私個人の想定を加えた上になりますが描いてみますね。

 ご自身が左に、エレクトロニクス業界全体が右にあるとします。
社会人として世の中に接している時はこちら。

 一方で、kikidiaryさんとして発している時はこうでしょうか。業界ニュースのゾーンを緑、コメント対象のゾーンをオレンジにしますね。

 まず、担当分野に関する業界ニュースであれば自分の担当分野に直接コメントが及ばないようにする。

 そして担当分野以外でも自分が理解できる分野であれば公然周知の情報から幅広くコメントする。その世界で生きている専門家でもなくても伝わるよう、より多くの方に分かって頂けるよう、自分の視点を動かした上で表現して発信する。

 こんな感じかと。

kikidiary:図にするとわかりやすいですね。そうだと思います。

 NewsPicksは3年近く続けているので、この点は非常に慣れてきて、自然に気をつけるようにしています。

小室:コメントするにあたって他に気を付けていることはありますか。

kikidiary:意見交換をする場では、強く目立つ意見が一つ出ると全体がそれに偏りやすくなります。それに対し「本当にそうかな?」という疑問の目をあえて一度は向けるようにしています。

 「ふとした疑問→関連情報の確認→気づき→発信」によって自分自身が勉強しながらコメントしているのでしょうね。

 さらにNewsPicksの場合、コメントに対してコメントを返し続けるという深い議論をする仕様にはなっていないので、利用者間で角が立ちづらいのがいいです。

小室:NewsPicksで発言してモチベーションが上がった経験はありますか。

kikidiary:私のコメントでlikeを沢山いただくのはありがたい限りです。

 それにオフ会など交流の場でピッカーの方々とじかに会えることがあります。普通に生活していただけでは会えなかった方々に出会えるのは何ものにも代えがたいです。ネット空間での発言から感じる「その人の人となり」を頭の片隅に入れておくと会っても楽しいですし、理解がさらに進むことでその方の発言に対する捉え方がより深くなります。あと、面白いのは普段フォローしている方々とオフ会で出会うと、とても自然に意見交換できます。何の違和感もなく毎回自然に盛り上がります。普段のコメントからお互いの人柄に対する理解が進んでいるということなのでしょう。

 私の場合、Twitterを始めてから様々な方々と知り合い、色々と意見交換させていただいています。どうして、さほど立派な肩書でもない私がそんなにいろんな人に会って頂けたかを考えてみたのですが、ビジネス経済記事に集中して発信しているからのようです。

 NewsPicksも活用させていただき、さらに会える方が増えました。

小室:ビジネス経済記事に集中したきっかけは何ですか。

kikidiary:Twitterでフォロワーを順調に増やしていた頃、ある友人に「映画や音楽、ゲームではなくてビジネス経済記事にフォーカスした方がフォロワーは増えやすそうだし、読んでいる人にとっても面白いかもしれない。」というアドバイスをいただいたことがきっかけです。それまでは、ビジネス経済記事に限らず、非常に幅広いテーマに対してコメントしていました。

 最初にTwitterを始めた時は誰かに読んでもらうためではなく、ただただ自分の暇つぶしのようなものでしたが、フォロワーが徐々に増えてきたこともあり、友人のアドバイスに従いました。

 結局、Twitterでのフォロワーは200人から800人、そして今では1,500人以上になりました。発信内容が多くの方々のニーズに合っていたのでしょうね。

 これがNewsPicksにおける私のスタンスになっています。

 NewsPicksを通じ、数多くのピッカーさんとお会いする機会を得て楽しく意見交換できました。オンラインでも悪くないですが、リアルな出会い・交流・意見交換が加わると、自分の見方を磨き上げる、一人一人にとっての新しい発見や気づきを得るというところにまで進められると思います。

小室:トラブルに巻き込まれたことはなかったですか。

kikidiary:幸運にも、一切の発信を取りやめ、これまで投稿してきた内容を全削除しなくてはならないほどのトラブルに巻き込まれたことはありませんが、背筋が凍りそうになったことはあります。その時は発信をやめようとも考えましたが、力強く応援して頂いた方々がいたため、私は今でも発信を続けています。

 私がNewsPicksで発信をしていることを所属先関係者の方々には伝えています。さらにブログやFacebookは家族や親戚にも見てもられるようにしています。それぞれの媒体で自分の「発信上のポリシー」を決めていて、所属先には明言化して提示しています。

 そういえば小室さんにも相談に乗っていただきましたね。

小室:ひどく落ち込んでいるようだったので、冷静になり、トラブルが再発しないようにするためにはどうしたらいいか一緒に考えようと話しましたね。

 大切な仲間の一人だと思っていたので思わず連絡していました。

kikidiary:今でもありがたかったと思っています。本当にありがとうございました。

小室:とんでもないです。私もいろんな人に助けられてきましたし。

 

今後の抱負

小室: 今後はどうしたいですか。

kikidiary:一時期はNewsPicksで一気にフォロワーが増え、様々な人とお会いする中で、ある種の「勘違い野郎」「天狗」になりかけていました。その頃のことを思うと反省しきりです。

 今は自分の目の前にある仕事に精一杯取り組む時期であると考え、「仕事」により意識が向くようにしています。そのため、以前よりNewsPicksでのコメント頻度は減ったと思いますし、オフ会などにもあまり参加はしていません。もっともサンノゼ在住なので参加しづらいですけどね。

 元々、目標など持ち合わせていない志の低い社会人でしたが、転職した時の目標が「グローバルな舞台で活躍して自分の実力を身につけること」であり、それに達する足掛かりは掴みつつあると感じています。これからはビジネスの推進役になり、1つ1つのプロジェクトの成功確度を高め、たくさんの現場を経験していきたいです。

小室:類似の立場にいる方々に対してコメントはありますか。

kikidiary:はい。技術的な事柄というのは普通の人にとっては複雑でわかりづらいものです。私も自分が取り扱っている製品を人に簡潔に1分で説明しようとすると今でも苦心します。そうしたことを誰もが受け止めやすいようにまとめて理解して頂けるようにするためには普段からトレーニングを積んでおく必要があるようです。NewsPicksに限らず「複雑そうなことを第三者に分かりやすく説明する」ということには高い価値があると思います。

 もちろん、世の中に広く発信することはリスクと常に背中合わせであることは間違いないです。会社全体が個人個人の発信に対して後ろ向きであることもまだまだあるようです。たとえば法人間取引の世界であれば顧客企業への影響、市場へのインパクトなど様々な面でリスク要因と見なされてしまうことがあるようです。

 私も身近な知人がTwitterでの口論がきっかけで社会的な立場や社名が暴露された上で炎上したのを目の当たりにしたこともあります。

 非常に残念ではありますが、最後の最後では自分の身を自分自身だけで守るしかないのかもしれません。一方で自主的に様々な事柄を発信することを通じて得られる知見や発見は間違いなく自分の中での糧となりますし、その中で知り合う方々から学ぶ機会もまた多いと思います。

 インターネットを介した接し方は成功と失敗を通じて分かるものでしょうし、性格によっても向き不向きもあるでしょう。誰もがしなくてはならないとは思いませんが、一人でも多くの方が対外的に発信することで、その価値がもっと普遍的になり、認められるようになっていくといいですよね。

小室:今回は大変貴重な話を聴かせて頂きありがとうございました。実はまだお会いしたことはないのにも関わらず、ここまで話を伺えました。

 ネット上におけるコメント空間の発展とT. Rikiさん、kikidiaryさんのますますの活躍を祈念してこの記事を終えようと思います。

 本当にありがとうございました。

kikidiary : こちらこそ、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

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プロフィール

小室

小室 勝裕
1972年生まれ。京都市在住。
10年来、購買業務のうち間接材の取引見直しによるコスト削減を様々な立場で経験。コンサルテイング会社勤務時代には事業を西日本に拡大するに当たっての現場の最前線を背負う。事業企画、経営企画、そして内閣府に出向して国の制度改革にも貢献した後、製薬会社に転職、現在に至る。
週末は二児の父として子供と外出する日々。

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