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2017年予測 ISO20400発行による品格ある調達へのシフト

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 1月とあって様々な今年1年間の予測を見かけます。
ここでは、2017年におけるBtoB購買の世界における潮流で、筆者が特に気に留めているものを記してみます。

 

ISO20400発足

 今まで購買業務というと属人的なものというイメージが強く、体系だった規範のようなものはあまり見かけませんでした。購買コンサルティングと言っても、部門の業務体系整備・機能強化の取組というより調達している品目の単価低減(コストダウン)を対象とする場合が多いものです。

 それに一石を投じる可能性があるのが、2017年春に発行予定のISO(国際標準化機構)によるISO20400(持続可能な調達)であると私は考えています。

(補足)持続可能な(sustainable)とは、長期間利用できるということではなく地球環境に優しいという意味です。

 

ISOとISO規格

 ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)はスイスのジュネーブに本部がある非政府機関の略称です。主な活動は国際的に適用する規格を制定することであり、ISOが制定した規格をISO規格と呼んでいます。

ISO規格(例)
①製品の規格をまとめているもの
ISO68:ネジ
ISO7010:非常口のマーク
など
②マネジメントシステム
ISO9001:品質マネジメントシステム
ISO14001:環境マネジメントシステム
など

 マネジメントシステムに関するISO規格には「要求事項」と呼ばれている基準が定められており、認証機関が審査して基準を満たしていると判断した場合、審査対象の組織に対して認証証明書(登録証)を発行すると共に広く社会に公表しています。日本国内だとISO9001のイメージが強いかもしれません。

 一方、2010年に発行したISO26000(社会的責任)は持続可能な発展への貢献を最大化するという倫理面を意識した内容になっていることから、認証制度ではなく手引きとして活用されるものになっています。この規格において、組織は「影響力の範囲」に対して社会的責任を果たすと定められています。影響力の範囲にはサプライチェーンも含まれており、本題にあるISO20400はISO26000(社会的責任)を購買・調達の観点から詳しく定義づけるものと考えていいと思います。

 

ISO20400発行による影響

 ISO20400の詳細はまだ審議中のため、あくまで現在の案から推測することになります。

 実際に発行すると、グローバルに調達活動を行っている企業を中心に影響を受けることになるでしょう。

 ■想定される影響
 ①購買・調達方針を社会性・環境活動を意識した内容に変更する。
 ②統合報告書などIR資料に取引先である環境監査報告を加筆する。
 ③取引先に対して社会性・環境面で問題ないかの報告を求める。

 購買部門、CSR部門そして取引先が関係してきます。

 一方で、ISO20400は強制力を働かせるものではないため、特に意識しない企業も多数あるだろうと考えられます。

 ここで心配しているのが一部団体などによる反「持続的な調達」をしている企業への酷評を旨とした意見広告や記事の発信です。特に想定しているのが、一業界を評価した上で、特定の企業に対し取引先が

・児童労働をさせている。
・森林伐採や環境汚染に対して対策を講じていない。
・劣悪な労働環境を発展途上国に押し付けている

と非難するということです。取引先のことなのでよく分からない、他国での事業活動まで把握していないという反応だと厳しい意見をさらに浴びることにつながりかねません。くれぐれもそのような批判にさらされて企業の社会的評価を落とすことのないようにしてほしいものだと思います。

 

見本となる調達コード

 では、模範になる組織や先行事例は日本にあるでしょうか。
私が特に参考にするといいと思うのは東京五輪の組織委員会が定めている持続可能性に配慮した調達コードです。
URL https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/

 世界的な祭典であり、公益性が特に高いことから力を入れているものと考えられます。

 私企業が同じように率先して取り組むかは何とも言い難いですが、子や孫の世代に胸を張って説明できるよう、事業活動を営むにあたって前向きな影響が出てほしいところです。

 購買活動というと安定調達とコスト削減の二本柱をよく見かけます。それに品格ある企業活動というもう1本の柱が加わってくるでしょう。

 2017年はそのメルクマークになりそうです。

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プロフィール

小室

小室 勝裕
1972年生まれ。京都市在住。
10年来、購買業務のうち間接材の取引見直しによるコスト削減を様々な立場で経験。コンサルテイング会社勤務時代には事業を西日本に拡大するに当たっての現場の最前線を背負う。事業企画、経営企画、そして内閣府に出向して国の制度改革にも貢献した後、製薬会社に転職、現在に至る。
週末は二児の父として子供と外出する日々。

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