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【読者企画】小宮山利恵子さんインタビュー③ 走りながら考えていこう

リクルート次世代教育研究院設立

小室:リクルート次世代教育研究院が設立されました。今は何人くらい所属していますか。

小宮山:現在15名程のメンバーで活動をしています。

小室:リクルートさんだとスタディサプリが有名ですね。TVコマーシャルでも最近よく見かけます。

小宮山:はい、ありがとうございます。社長の山口は進学事業を担当していた際、地方の学生から東京の学生はずるいと言われたのです。

 東京には塾がある。地方だと通信教育くらいしかない。選択肢がない。安価で良質な教育が受けられるようにしたいと。また、経済的に余裕がないために、塾があっても通えないという話もありました。

 それがきっかけで全ての子供たちに安価で良質な教育を届けようと構想を練り、リクルートの新規事業提案の場である「New RING」でプレゼンし、グランプリを受賞して事業になりました。

 教育環境格差は、子どもの貧困と密接に関係しています。今や日本では6人に1人の子どもが相対的貧困と言われる時代で、企業として社会のために取り組むべきであるという使命感を私たちは抱いています。このため、当研究院は営利事業ではなくシンクタンクとして活動しています。

 2つの柱になる活動があります。①ビッグデータ及びアクティブラーニングの活用、②子どもの教育環境格差の解消です。

 ビッグデータに関しては、2013年から東京大学の松尾先生と「スタディサプリ」のメンバーとで共同研究をしており、その研究成果を少しずつ社会に還元していこうと考えています。子どもたちの学習履歴のデータを大量に蓄積しており、それを分析する中で、より生産的、より効率的に学ぶためにはどのような仕組みが良いのか研究しています。

 ビッグデータやAIの研究が進むと試験時間を短縮できるのではないかと考えています。たとえば、ある英語のテストでは1回あたり2時間かけているものを半分以下の時間に収められるかもしれないと想定しています。というのも、回答経過を見ながら受験者一人一人にカスタマイズした質問を都度提示できれば沢山の問題を解いていただかなくても能力を測定できるのではないか、ということです。

 ディープラーニングに関しては、オンライン学習のUDACITYのように、ある一定期間授業を受けると、就職の面倒を見てくれ、就職できなければ授業料を返金するというプログラムが出始めています。こうしたオンライン学習がさらに発展すれば、Webを通じて学びたいものを自分の好きな時間で受講できるようになるのではないか、と期待しています。

 一方、子どもの教育環境格差、特に子どもの貧困に関しては、「スタディサプリ」という教育事業をリクルートで運営していることから、教育という視点で産官学での連携を進めていきたいと考えています。三者それぞれが貴重な知見を持っていらっしゃるため、それらを共有することで子どもの教育支援施策をより効果的にできるものと考えています。特に自治体などでは、隣の自治体がどのような施策を行っているのか知らないという場合もよくあるようです。また、企業においても子どもの支援を積極的に実施しているところもあります。それぞれが行っていることがどのような影響を子どもたちに与えているか、「学」に入って頂くことで検証ができたり、改善ができると考えています。また、産官学が連携することで、新しい視点の試みも出てくるかもしれません。NPOさんなど、子どもをサポートしている方々を含めて議論する場を設けられればと考えています。

小室:今日でこそ東京でお会いしていますが、かなり精力的に様々なところに出張していますよね。走り回りながら研究しているというイメージすらあります。

小宮山:確かにオフィスにいることが少ないですね。机上で考えることも頭の中の整理には必要なのですが、「現場の声を伺うこと」が最も大切だと思っているので、生徒や先生、親御さんや自治体の担当者、NPOで現場で活動されている方の声には常にアンテナを張りたいと考えています。

 

メディアでの活躍

小室:最近、TVにも出たそうですね。

小宮山:フジテレビの「ホウドウキョク」という番組にお声掛け頂き、「子どもの貧困と教育格差」というテーマでお話させて頂きました。

Rieko Komiyama@FujiTV

TV出演の際の様子

小室:NewsPicksでも積極的に発言をしていますよね。

小宮山:恐縮ながら「教育」分野でのプロピッカーをさせて頂いているということで、教育に関する記事についてのコメントが多いと思います。ただ、これまで永田町や教育産業、IT/ソーシャルゲームの会社にもおりましたので、その経験を通じて得られた知見が共有できそうな記事にもコメントさせて頂いています。ただ、プロピッカーかどうか関係なく、コメントされている方々から日々勉強させて頂くことが多いので、大変有難く思っています。

 

中長期展望

小室:中長期的にはどんな人になりたいと考えていますか。

小宮山:将来どんな人になりたいか、現時点では全く想像つかないです。社会に求められる、社会の要請があるものを提供し続ける者でありたいです。それは、多分学びたいと思う子どもたちに教育の機会を提供したいということに尽きます。それを達成する上で、学校の現場で一生懸命頑張っていらっしゃる先生や、NPO、行政や学術機関、民間企業など、既に子どもたちをあらゆる視点からサポートされている方々のお力添えを頂きながら推進していければと考えています。

小室:本日は貴重な話をいろいろと聞かせていただき、本当にありがとうございました。愉快かつためになる時間でした。

Rieko Komiyama with VR

VR体験中の1枚。今後どう活かしていくか、じっくり考えてみますとのこと。

■本記事の目次
第1回:サバサバ、ネアカ、それが私。
第2回:心から納得できる仕事への道のり、やはり教育。

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プロフィール

小室

小室 勝裕
1972年生まれ。京都市在住。
10年来、購買業務のうち間接材の取引見直しによるコスト削減を様々な立場で経験。コンサルテイング会社勤務時代には事業を西日本に拡大するに当たっての現場の最前線を背負う。事業企画、経営企画、そして内閣府に出向して国の制度改革にも貢献した後、製薬会社に転職、現在に至る。
週末は二児の父として子供と外出する日々。

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